不細工芸人と言われても
あのまま、悶々としているうちに俺もそのまま眠りこけちゃったんだな。

…………しかし、寝顔かわいいな。
キスしたい。 このまま………

ぱちっといきなり目を開けるから、俺はビックリしてソファから転げ落ちた。
っっっb
「だ、大丈夫ですか!? 高岡さん、ごめん。私が占領しちゃったから。」
「てて。…………大丈夫。」

カホは、満面の笑顔で
「おはようございます。高岡さんのおかげでグッスリ眠れちゃった。」
「……………………。」

俺は、おかげでスイッチが入っちゃったぞ。
マジで、もう無理。 我慢の限界だ。

「コケコッコー」
デカい音でニワトリが鳴く。
いや、正確には、カホの携帯からアラームが鳴る。

「あ。7時のアラーム。」
カホは、そう言って、テーブルの上にある携帯のアラームを止める。

「なんで、ニワトリなんだよ!」
「えー、だってやっぱりこれが一番目がさめるんだもん。」

俺はうなだれる。
「高岡さん、見てー。昨日の嵐がうそみたい! 雲ひとつない快晴だよ。」
窓の外を見て元気よく伸びをするカホ。

「……。」

「ね、高岡さん、ほんとにまた遊びに来ていい?」
屈託無く言うカホに殺意すら感じる。 次、来たら襲うぞ。この野郎。絶対だ!

「………別にいいけど。」

「ありがと。ねえ、これこのまま着ていくね。洗濯してまたボックスに返しておく。電車動いてるかなあ。」
カホは、もう仕事モードの頭に切り替わっているのだろう。
テキパキと帰り支度をしている。

「高岡さん、ホントに昨夜はありがとう。」
「ああ、うん。」
「じゃあ、私時間ないからもう行くね。」
「………………ああ。」

カホが出て行った後、無性に寂しくなる。
もう一回、寝よ。
俺はカホがかぶっていた毛布に潜り込む。 カホの温もりと匂いがまだ残っている。
あ、こんな小説あったよな。 変態だよな。俺。
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