愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~



「ところで奥様どうされたんですか?なにかありましたか?」

「えっと……たまにはお買い物したいなと思って。近くにスーパーとかありますかね」

「近くと言っても車やバスじゃないと行けない距離なんですよねぇ。あっ、じゃあ私が連れて行ってさしあげます!」

「いいんですか?」

「はい。ついでに備品も買い出しに行きたいと思ってたところですし!さ、行きましょ!」



増田さんは私の背中を押してその場を歩き出す。

そして増田さんの愛車だという白の軽自動車に乗せてもらい、ふたりで大きめのスーパーがあるという街のほうへ向かった。



車で走る道中は、ひたすら山道だ。

わかってはいたけど、やっぱり結構距離がある。ここで生活していくなら車必須かな。

免許は一応あるし、これまでの貯金をはたいて安めの車でも買おうか。



そんなことを考えながら、窓の外の景色を見つめる。

でも、さっきの彼女たちの話で実感したけど、やっぱりああいうふうに噂されているんだ。



『お互いのことよく知りもしない結婚なんて続かないって』



……そう言われてしまうと、確かに。

結婚して半月近く一緒に生活していて、最初より空気はよくなったとはいえ、名護さんのことはわからないことばかりだ。

でも拒まれないだけマシかな、なんて思ってしまうのはハードル低すぎ?


  
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