にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光
遥…
「明日、お父さん帰ってくるんだ!
また一緒にご飯食べませんか?」
「前に一度会ったね…
…
よく一緒にご飯食べれたな…
今、考えると
オレ、何考えてたんだろ…」
「でも、お父さん、嬉しそうだった
あれから帰ってくると
原さんのこと気にしてましたよ」
「ホント?
遥をよろしくって言われたもんね」
「うん…言ってた、お父さん
原さん
ぜんぜんそんな気なかったのにね」
「なかったかな…?」
「うん、なさそうな顔してた」
「ウソ?そんな顔してた?オレ」
「うん…
私は、原さんのこと気になってたけど…」
「あの時も?」
「うん…
たぶん、最初から…気になってた
…
お父さんの手と同じ…って
手を見て思ったの、覚えてる…」
「自分の手
好きだと思ったことなんか
なかった…
…
好きなんて言ってくれるの
美波さんだけだよ…」
「大好きだよ…
原さんの手も
原さんも…」
掌を重ねたら
原さんが握ってくれた
「その手で
お父さんに殴られたらどぉしよ…」
原さんが言った
ふたりで笑った
握られた手が幸せだった