にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光
「遥」
「ん?
まだ、つづき?」
「言ってなかったことがあった…」
原さんの声のトーンが変わった
真剣だった
「…いい事?…嫌な事?」
少し不安になった
「んー、どぉだろ…」
「なに…?」
「美波って…
義姉と同じ名前なんだ…」
「え…」
「だから、美波さんて呼ぶたびに
思い出してた…
…
レンタルショップの会員カード
預かるたびに思い出してた…」
「今も…思い出す?」
「んー…
今は、美波さんは美波さん
…
でも、できれば
遥って呼びたかった」
「呼んで…
遥って、呼んでください
私も、呼んでほしかった」
「遥…
…くすぐったい?」
「うん…
耳の後ろ辺りが、くすぐったい」
「この辺…?」
そう言って原さんは
私の耳元に唇を付けた
「遥…
好きだよ…」
くすぐったかった耳が
熱くなった