君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 家を出た瞬間、気持ちいい風が僕を包み込んだ。



 家から学校まで徒歩で約15分、その道のりを歩いている間にもきれいな草花たちや木々が僕の心を癒してくれる。


 初夏混じりの春の風に乗って草花たちや木々がやさしく揺れている。


 風に乗ってやさしく揺れている草花たちや木々を僕は何度も足を止めて見ている。


 だから片道15分なところをいつもそれよりも10分くらい多目にかかる。


 でもそんな草花たちや木々に癒されながら歩いていると、あっという間に学校に着くように感じる。


 そして正門に立っている先生に挨拶をして校舎に入っていく。





 教室に入って僕が最初にすること。


 それは花瓶の水を入れ替えること。


 僕は一学期の間、花係になった。


 花係は僕が好きな係で、クラスで係を決めるときに真っ先に花係をやりたいと手を挙げた。


 クラスの男子たちからは「男子が花係をやるなんて」と言われたけど、そんなことは全く関係ない。


 僕は草花が好き、緑が好き、自然が好き。


 だから誰に何を言われようと僕は花係をやり続ける。


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