呑みますか、呑みませんか。
ベッドに寝かされたあと、部屋の照明が落ちる。
真っ暗ではない。
オレンジ色の小さなランプに明かりが灯って素敵な雰囲気になった。
「……いま、人生でいちばん酔ってる」
「へえ。たまちゃんのこんな姿見たやつ、いないんだ?」
「うん」
「それは。興奮するね」
「へ、」
覆い被さってくる、チヒロくん。
「飲ませすぎちゃったな」
コーフンって。
チヒロくんのツボがよくわからないよ。
「やめようか」
やめないで。
「水。持ってくる」
行かないで、という言葉が口から出てこない。
代わりに身を起こそうとするチヒロくんのスウェットをギュッと掴んだ。
簡単に振りほどかれてしまうくらいの力しか、出せない。
「……たまちゃん?」
離れないで、そばにいて。
「いいの?」
「…………うん」
ほのぼのした雰囲気が、一転。
さっきより長いキスを交わしながら彼の指先がわたしをなぞり、営業部のタマキさんが自分を求めているのだという実感が、ようやくわいてきた。
吐息と一緒に小さく声が漏れる。
「これ、ヤバいな」
……なにが?
「襲ってるみたい」