呑みますか、呑みませんか。

「いただきます」


 ウニ、いくら、マグロ、サーモン、イカ。

 それらが贅沢にご飯の上に並んでいて。


「……美味しい」


 辛口、と聞いて飲めなかったらどうしようかと思った日本酒も、ちょうどいい具合に合っていて。


 至福ナリ。

 これぞオトナの楽しみって感じ。


「それはよかった」


 と言うタマキさんの頬が既にピンク色。

 かわいいかよ。


「……酔ってます?」

「やはり日本酒は。キツいな」


「アルコール度数17だそうです」とラベルの表記を読み上げる。


 つまり、ビールが5%くらいだから、ビールで酔うタマキさんにとって日本酒は3倍ほど強敵ということになろう。


「お水も、飲んでくださいね?」


 体内のアルコール濃度を下げながら飲めば、きっとラクなはず。


「オギノさんと飲むと。酒が進むな」

「え?」

「愉しい」


 それは、わたしといるのが、楽しいということでしょうか。

 それとも、わたしが先にダウンすることもなければ酔いやすいタマキさんをからかわないから、安心だという意味で……?
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