住みますか、住みませんか。

 それは、はい、とても気に入っています。

 お酒とお料理の美味しさ。そして無口なマスターのミステリアスさ。


「君くらいの女の子で。ガードかたくて。おまけに酒も強いなんて、おもしろくて」


 なんですその、いいオモチャみつけたってニュアンスは。


「でも、男の好みはベタにタマキなんだよなあ」

「……っ」


 急にチヒロくんの話をふられて、ゴホッとむせてしまう。


「ああいうの好きなんだ?」


 はい。……スキデス。


「僕の記憶が正しければ。たしか、春の歓迎会のとき。君はタマキと同じタクシーで帰っていた」


 あの、記憶力、鬼ですか……?


「よかったねえ。同じ方面で。ドキドキした?」

「……まあ」

「うーわ。酒で少しも赤くならなかった顔。タマキの話になると。真っ赤になってる」

「そういうこと。言わないで、下さい」

「なになに。もしかして。本気で惚れてるの?」


 どうしよう。

 チヒロくんと付き合っていること、なんとか羽鳥さんに誤魔化せたとしても。


 チヒロくんのことすきなこと、誤魔化せないかもしれない。


「競争率高いよー。彼は。取引先にも、めちゃくちゃファン多いし」


 やっぱりそうだよね。どこ行ってもモテるとは思っていたよ。


「今夜も。今頃。キャーキャー言われているだろうしね」


 ――――え?


「僕もいつもしてることだから大変さはわかるけど。それでも。女の子いる店だと接待も少しは楽しいかな」

< 12 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop