住みますか、住みませんか。
それは、はい、とても気に入っています。
お酒とお料理の美味しさ。そして無口なマスターのミステリアスさ。
「君くらいの女の子で。ガードかたくて。おまけに酒も強いなんて、おもしろくて」
なんですその、いいオモチャみつけたってニュアンスは。
「でも、男の好みはベタにタマキなんだよなあ」
「……っ」
急にチヒロくんの話をふられて、ゴホッとむせてしまう。
「ああいうの好きなんだ?」
はい。……スキデス。
「僕の記憶が正しければ。たしか、春の歓迎会のとき。君はタマキと同じタクシーで帰っていた」
あの、記憶力、鬼ですか……?
「よかったねえ。同じ方面で。ドキドキした?」
「……まあ」
「うーわ。酒で少しも赤くならなかった顔。タマキの話になると。真っ赤になってる」
「そういうこと。言わないで、下さい」
「なになに。もしかして。本気で惚れてるの?」
どうしよう。
チヒロくんと付き合っていること、なんとか羽鳥さんに誤魔化せたとしても。
チヒロくんのことすきなこと、誤魔化せないかもしれない。
「競争率高いよー。彼は。取引先にも、めちゃくちゃファン多いし」
やっぱりそうだよね。どこ行ってもモテるとは思っていたよ。
「今夜も。今頃。キャーキャー言われているだろうしね」
――――え?
「僕もいつもしてることだから大変さはわかるけど。それでも。女の子いる店だと接待も少しは楽しいかな」