住みますか、住みませんか。
「……羽鳥さん」
「なんだい」
「プレゼントは。急ぎでは、なかったと?」
「いいや。プレゼントは。必要ない」
「必要……ない、とは」
「なぜなら。僕に妹は、いないから」
「……はい?」
「いいね、その顔」
よくないですよ、羽鳥さん。
「騙したんですか……!」
「ごめんね。親睦を深めたかったんだ」
「だったら最初からそう言っていただければ」
「言えば。一緒に飲んでくれた?」
メガネの奥の鋭い瞳に捉えられる。
「それ……は」
「こうでもしなきゃ。ついてこないでしょ、君は」
やられた。
「こんなことして。会社の女の子……よく、誘ってるんですか?」
「心外だな。僕から誘ったのは、会社では君だけだよ」
「そうなんですか?」
「あまり身近な女の子に手を出すと。あとあと面倒だろ」
か、軽い。
絶対に軽い、このひと……!
「おもしろいね。さっきから表情豊かで」
「あの。わたし。そういうつもりで……ここへは」
「わかってる。君が僕と簡単に寝るような子じゃないってことは十分ね。だからこそこんな話をしている」
「……帰り、ます」
「まだいたらいいよ。電車があってもなくてもタクシー乗せてあげるから」
「そういうわけには」
「もう少し飲むくらい、かまわないだろ? もう口説く気もない。今日のところは」
今日のところ……は?
「見たところによると。君は酒というものに関心があり。この店も気に入っている」