住みますか、住みませんか。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」

「僕も。楽しかったよ」


 羽鳥さんは、わたしがトイレに行っている間に会計を済ませてしまっていた。

 一円も払えていない。


「ほんとに、ご馳走してもらっていいんですか?」

「君もしつこいね。僕の前では財布は出さなくていいの」

「あ、それじゃあ。次はわたしに払わせてください!」

「話……聞いてる?」

「だって」

「ふーん。また僕とデートしてくれるんだ?」

「デートじゃないです。チヒロくんも誘って3人で」

「えー……。極力、男とは飲みたくないんだけどな」

「そうなんですか?」

「まあ。どうしてもっていうなら……あ、足元に気をつけて」


 段差の手前で、肩に手をまわされ、抱き寄せられる。


「大丈夫です、よ?」

「いいや。君、やっぱり酔ってるね」

「え……」


 自分では、まだ、ほろ酔いくらいにしか感じないのに。わからないものだなあ。


「うちまで送っていこう」

「いえ。そこまでしてもらうの悪いです」

「遠慮することない。こうなったのは僕に責任がある。悪ふざけがすぎたね」


 さすが、チヒロくんが心を許せる先輩だけある。

 信頼できる人物だからこそ、わたしとの仲も話したんだね。

 だったら、ひとこと、そう教えてくれたらいいのに。羽鳥さんにだけは関係をバラしていると。

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