ゾーイ・テイラー〜終幕、のちにキス〜
ロネが呪文を唱えると、杖から光があふれていく。ゾーイは美しい光をただ見つめていた。

「これは……」

「誓いの魔法だよ。この魔法のもとで誓ったことは必ず守らなければならないんだ」

魔族の間では結婚式の時に互いの愛を誓う際に使う場合もある。ロネはゆっくりと口を開いた。

「俺は、絶対に何があってもゾーイを幸せにする。ゾーイの全てを支える。それを今、ここで誓います」

光がゆっくりと二人を包んでいく。その時、ゾーイが言った。

「それなら!私もロネを幸せにすると誓う!一緒に幸せになろう!!」

ロネが驚いている間に光は消えていく。誓いは成立した。二人は互いに支え合い、幸せにならなければならない。

「ゾーイ、愛してる。だから俺の隣にいてください」

ロネはそっとゾーイの頰に触れる。ゾーイもロネの頰に触れた。

「ロネのことを、心から愛してる。ロネと生きてもっと色んなことを知りたい」

ふわりと唇が重なった。これは始まりの口付けだ。罪の十字架を背負わされた少女が幸せになっていくスタートライン。

ロネとゾーイは涙をこぼし微笑む。そして、唇をまた重ねた。
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