永遠、というものがあれば
それから数週間がすぎ、私は数日後に退院できるようになった。



やった〜!



この病室にはテレビがなくて、



舞やカズくんに雑誌やなんかをたのんでも、目が疲れるから、なんてなかなか持ってきてくれないんだもん。



暇〜!



その日も私は見舞いに来てくれた舞が帰ってしまった後、



カーテンを開けて、晴れた綺麗な青空を眺めながらいつしか眠っていた。



誰かが私の側に立って、顔を近づけ、



ふっとしたが頬に当たったと思った時、



私の唇に誰かの口が重なった。



それはとても、



とてもとても優しいキスで。



何秒間のことだったんだろう。



そっと唇が離され、



私の耳元で



「さよなら」



と囁いて、また風とともにさぁっと気配が離れた。



いや。



いや、いや。



行かないで!
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