冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
「……なるほどな」
ぽつりとドレイクさんの声が聞こえた。
言葉の続きが怖い。
顎に手をやり、口元のホクロを撫でた情報屋は、隣へ視線を向ける。
「付き合ってられねぇな、アスラン」
「あぁ、まったくだ」
低い声。心底呆れたようなトーンに、顔を合わせられない。
ふたりの態度に満足げなダルトンさんは、私を除け者のように冷めた目で睨んだ。味方はどこにもいないのだ。
しかし、罪人として締め上げられると覚悟していた私の耳に届いたのは、予想外のドレイクさんの声だった。
「言いたいことはそれだけか、ダルトン」
え?
敵意が向かった先に驚く。
こんな言葉が返ってくると思わなかったらしいダルトンさんも、動揺して顔をしかめている。
すると、アスランが控え室の扉へと歩き出した。
「ドレイク、お嬢さんを頼んでいいか?俺はちょっと外に出てくる」
「あぁ。わかった」
相棒である情報屋の返事に頷き、部屋を出て行こうとするアスラン。
ダルトンさんがあわてて呼び止める。
「どこへ行くつもりですか?」
「どこって、B型の血を探しにですよ。国中駆け回ってでも協力してくれる人を見つけてやります」
一同が見つめる中、アスランはぴしゃりと言い放った。
「今、レウル陛下以上にアルソートに必要な君主はいない。なにがあろうと、あの方を死なせてたまるか」