冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

抱いていたイメージとずいぶんかけ離れた答えだ。革命を起こしたのはとても勇ましいが、温かい雰囲気よりも冷たい性格なんだと思っていた。

どちらかと言えば、太陽よりも月に近い。

つい、ぽろりと本音を口にする。


「なんだか意外です。革命軍を率いるくらいですから、厳格で冷静で、青い薔薇と呼ばれているレウル様そのもののような方だと思っていました」


すると、それを聞いたエルネス大臣は、はっ!として咳払いをした。


「まぁ、一国の主ともなれば民の前では勇ましい姿しか見せないものです。先代の王はとても慈悲深いお方でしたよ」


知らない一面を聞いてなんだか()に落ちないような感覚に包まれていると、エルネス大臣はぽん!と手を叩いて話題を変える。


「そうそう、大切なご用件を伝え忘れておりました」

「大切な用件?」

「はい。先日の夜会での密偵侵入騒ぎです」


そういえば、レウル様が短剣を投げてスパイを始末しようとした物騒な事件があった。翌日から犯人を特定するために様々な人脈を駆使して調査を続けていると聞いていたが、進展については知らされていない。


「夜会の騒動はエルネス大臣が調べているのですか?」

「いえ、我が城には優秀な情報屋がいましてね。闇には闇をと、動いていただいております」

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