その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「何も考えないで飲んでみて。
絶対に美味しいから」
ロビンは毎回こう言うけれど、毎回美味しいと思った事はなかった。
健太郎は首を横に振って、スムージーをテーブルの上に置いた。
気分的に滅入っているのに、気持ちを強くしてスムージーを飲むなんてそんな元気は湧いてこない。
「ケン?」
健太郎が何も言わずにロビンの方を振り向くと、ロビンは健太郎にキスをするような素振りを見せる。
でも、しない。
子供の頃からのゲームが、こんな時に必ず復活する。
ロビンは僕の弱みをちゃんと心得ていて、いつもご褒美にキスをくれる。
「今日のご褒美のキスは、僕が主導するからね」
「でも、それじゃご褒美じゃないよ…」
ロビンがそう言い終わらない内に、健太郎は一気にスムージーを飲み干した。
パクチーの苦さに震えが走ったけど、でも、僕はロビンとキスがしたいんだ。
「飲んだよ…」
それからの僕達は、僕が主導で甘いひと時が始まる。
キスだけじゃ終わらない。
終わるはずがない。
僕はロビンも同じ気持ちだと信じてる。
身体を重ね合わせて、僕達は僕達だけの絆を作る。
たくさんの言い訳やしがらみがロビンの頭の中に渦巻いていたとしても、ロビンは確実に僕を愛している。
大人になった僕の事を。
ソフィアとの約束もこの先の不安定な未来も、僕達の欲望を止めるブレーキにはならなかった。
「ロビン、愛してる…」
子供の頃の大人っぽいゲームは、きっと、今を暗示していた。
キスだけじゃ終わらない。
キスだけで終わるはずがない。
あの頃から僕達はお互いを求めて合っていたのだから。