【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ


「……っ!!」


私に気づいて振り返った白坂くんは、凍りついてしまいそうなほど冷たい瞳をしていた。


闇夜に染まったその瞳に、私はその場で息すら出来なかった。


殴られたのか、口から血が滴っている。



「お前は何も見なかった。意味、わかるよな?」



私にそれだけ告げると、白坂くんは血だらけの拳で口もとを拭った。



───そして現在。


あの夜のことが嘘だったんじゃないかと思うくらい、白坂くんは普通に私と接している。


……もちろん、いちクラスメイトとして。


かくいう私も誰かに話すなんて恐ろしくてとても出来ず、知らないふりをしている。


だけど、きっとあの夜のことは現実なんだろう。


だから、白坂くんとこんなに目が合うのだと思う。

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