【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
漆のような黒い髪の男を見た時……胃の底が浮いたみたいな嫌な感覚と恐怖に包まれた。
当事者でもないのになぜだか絶対に会ってはならない男だと、私の本能が知らせているような気さえした。
そんな闇夜の出来事を思い返していると、
「小夏、今日も柳(やなぎ)くんの家行くの?」
私に声をかけてきたのは、仲良くなった園田 澪(そのだ みお)ちゃんだ。
「うん……! なんか買ってから行こうかなって! 澪ちゃんも一緒に寄ってく?」
「あー、ごめん。わたしは寄り道しないで帰るよ」
澪ちゃんもまた謎である。
細い子しか勝たないとファッション雑誌で見たことあるけど、まさに澪ちゃんはそれ。
スラッとしてて、前髪をセンターでわけている小顔美人。
そんな美貌を兼ね備えているのに、告白されても絶対にオッケーを出さないのは白坂くん同様。
さらには華のJKだってのに、真っ直ぐ帰宅するスタイルを入学当初から貫いている。
澪ちゃんとは是非、一度は遊びに行きたいんだけど、私も振られっぱなし。