医者嫌いの彼女

不安2

亜妃が運ばれて、5日目の昼。
慶太から抜管すると連絡をもらった。

午前の仕事が一通り終わって向かうと、
すでに抜管した亜妃の姿があった。

「…目覚めたんだな。気分はどうだ?」

亜妃「……」

俺の顔を見るなり突然泣き出す亜妃。

「ちょ…また苦しくなるから。泣くな。な?」

そう言って涙を拭いてやる。
でもまずは、聞かないといけない事がある。

主治医として。

「…なぁ。薬だけど。そんなに使ってたのか?」

亜妃「……。」

「…大事な事だから。」

しばらく黙っていたが、俺が聞くと、
小さい声で話し出す。

亜妃「…使ってました、最近は…殆ど毎日」

…毎日か。薬が残ってないのも納得。

「そっか……気付かなくて悪かった」

そう言った俺に一瞬驚いた顔をして首を振る。

「忙しさにかまけてちゃんと見てなかった。
こんなに痩せたことにも気づかないくらい…。ごめん」

亜妃は困った顔をして俯く。
この原因が何なのか、聞かないといけないが、
どう切り出すか。
…聞いたところで大人しく答えてくれるのか。
色々考えているところに、PHSがなる。
まだ仕事中だった…

なんでこんな時に、と思うが仕事に戻らないと。

「…とりあえず、慶太と話して明日、
呼吸器の方に移動するな。」

早口でそれだけ伝え、電話に出ながら
亜妃のもとを後にする。
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