エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「いえ、津雲さんに比べたらまだまだです」
「そんなことないだろう。さすがの俺も、恋人を論破して泣かせたことはない」
「だ、誰も泣かせたとは言ってないじゃないですか」
「泣いてなかったのか?」
改めて聞かれると、泣かせてない自信はなかった。
感情的になるばかりのかつての恋人たちに、淡々と論理攻撃を重ねて訪れた結末は……いつも、相手の方が小刻みに肩を震わせ、瞳を赤く潤ませていたような。
「……半泣き、くらいにはさせたかもしれません」
当時を振り返って正直に告げると、津雲さんは声を殺しながらくつくつと笑った。
励まそうと思って披露したエピソードで笑われるのは心外なんですが……。
少々不機嫌な顔で彼を見つめると、笑いすぎて目の端に涙を浮かべた彼に問いかけられる。
「浅見、今日、この後予定は?」
「家に帰るだけですけど」
「じゃ、食事でもどうだ? もう少し浅見の話を聞いてみたいし、いつも俺の片腕としてがんばってくれてるご褒美に、なんでも奢るよ」