エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「津雲さん……」

 吸い込まれそうな漆黒の瞳。その奥から、真剣な感情がひしひしと伝わってきて、胸が熱くなる。私の知らないところで、彼がそこまで私を想ってくれていたなんて……。

「……少し、押しつけがましかったか?」

 胸がいっぱいでうまく喋れない私の顔を覗き、津雲さんが不安そうな顔をする。私はすぐにブンブン首を横に振り、ガバッと彼に抱きついた。

「そんなことないです! ……うれしいです、とっても」
「よかった……。結構緊張していて、それを紛らわすために料理をしていたんだ。いきなり指輪なんて渡して引かれないかとか、本物のエンゲージリングじゃないことにがっかりされないか……とか」

 私の体を優しく受け止めた津雲さんが、ホッとした顔でそんなことを告白する。

「しませんよがっかりなんて。でも、サイズよくわかりましたね。ぴったりです」
「そりゃ、まぁ……さんざんチェックさせてもらったからな。手相を見るという口実――」

 彼はそこで突然口を噤み、片手で口元を覆いながら、気まずそうに視線をそらした。たぶん、話すつもりのなかったことなのだろう。

 でも、今さらもう遅い。あのデートの日、いきなり手相を見ると言い出す彼がちょっと不可解だったけれど、そういうことだったんだ。

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