エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
なにもミスはなかった。いつも通り、大雅さんの事務官としての職務を全うした。
自分ではそう思っていたはずなのに……。
「……どうしたんだ、和香菜。午後、ずっと上の空だっただろう」
時計の針が定時を過ぎたところで、大雅さんの方からそう話しかけてきた。
仕事が終わったら彼と話すつもりだったのは私も同じだけれど、先に突っ込まれたのが予想外で、つい否定の言葉が出た。
「いえ、そんなことはありませんが……」
大雅さんの眉がぴくりと動き、彼はため息をつく。
「どうしてごまかす。悩みがあるのなら話してくれ。俺のことか?」
「……隠し事をしてるのは、大雅さんの方じゃないですか」
私はそう言うと、開いていたノートパソコンをいったん閉じ、彼を見つめた。
「私が……責任を感じると思って黙っていたのかもしれませんが、できればあなたの口から聞きたかった。大雅さんがちゃんと説明してくれれば……もっとゆっくり心の準備をして、お別れすることができたのに」
〝お別れ〟と言う言葉を発する時だけ、つい声が震えた。
私は心を落ち着かせるように、細く長く息を吐く。