エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「私、その人とは会いませんからね。うまく断っておいて」

 あしらうように冷たく言うけれど、母は引き下がらない。

「最初からそんなに拒否しなくたっていいじゃないの。お母さんだってねえ、いちおう和香菜のお眼鏡にかないそうな男性だからお願いしたのよ?」
「なにそれ。お母さん、私の男性の好みなんて知ってたっけ」
「そりゃ娘だもの、わかるわよ。その人ねえ、とっても売れっ子の弁護士さんなんだけど、弁護士になる前はなんと検事だったの。和香菜の興味ある話が聞けそうでしょ?」

 三十代の、元検事の弁護士……。思わず知り合いの顔がパッと浮かんだが、まさかそんな偶然はないだろうと、小さく首を振る。

「その男性の職業がなんであれ、お見合いはしません。っていうかお母さん、私に検察事務官を辞めさせたいがために、結婚してほしいんでしょ? だとしたら余計不愉快だし、放っておいてくれない? 私、今の仕事辞めるつもりないから」

 はっきりそう告げると、母は拗ねた子どものように口を尖らせた。

 しかしすぐに「あっ」と表情を明るくすると、エプロンのポケットからスマホを取り出し、慣れない様子で操作をすると、私にある画像を見せてきた。

< 77 / 166 >

この作品をシェア

pagetop