ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「やめてくれ。いやらしい目で見るな。」

「プッ…彬良って、矛盾してるぞ。
ここに連れて来たの誰だよ。」

「…………。」

「フランス語もすごいんだな。
留学経験がないなんて信じられないよ。」

「灯里の耳は特別なんだ。
一度聞いたらそのまま発音出来る。」

「へぇ〜!
それはすごい。
いや、彬良さえ良かったら、他にも語学で悩んでる経営者は結構いるんだ。
灯里に紹介することも出来る。」

「ああ。斎は信用できると思った。
まあ、だからここにも連れて来たんだけど。
……斎から見て、まともな人なら是非紹介してやってほしい。」

「わかった。ちゃんと人選はするよ。
……今月末かー。
接待で使いたかったな。
海外からの客に、メイドカフェはすっごい人気なんだ。接待も喜ばれる。
くノ一カフェなら和物好きの外国人にもピッタリだよ。
灯里がいたら、通訳なしでも楽しませてくれそうだし。」

この人は、常にビジネスが念頭にあるんだな。

「お待たせしましたでござる〜!
《天守閣オムライス》でござる〜!
お殿様?ご一緒に忍術をかけるでござるよ?」

えぇぇぇ……!
一緒に⁇ 何させるんだ⁇
しかし、斎の反応は全く違った。

「いいの⁉︎
うわー! 嬉しい‼︎
ちょっと、彬良! 写真撮って」

……ハイハイ。

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