ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「問題は、やっぱり誤解してたって話よね。
勝手に灯里ちゃんに彼氏が出来たと思い込んで。
当て付けに手当たり次第、女に手を出した。
そういうことよね?
マジでムカつくな。」

うん。
マジでムカつく。
絶対許せない。

「…………許せそうにない?」

「…………わかりません。
少なくとも、昨日は無理だと思ってました。」

「うん。
それはそうだ。
正しい感情だと思う。」

一緒にムカついてくれる麗先生が嬉しい。

「でも…………初めて言ってくれたんですよね。
好きだって。」

「うん。そうだね。
やっとだね。」

「それは…やっぱり嬉しくて…。
ずっと一緒にいたいって、そう思ってくれるのが…すごく嬉しい。」

「うん。そりゃ嬉しいよ。
…………灯里ちゃん、彬良くんの過去、
どうしても許せない?」

「…………。」

考えただけで、嫉妬でどうにかなりそうなほど嫌だ。

「私だってね、今でも修司さんの昔の女のこと考えるとムカつくよ?
それこそ、修司さんの元カノやセフレなんて、
本人だって数えきれないくらいいるもの。
何十?何百?その全部がムカつく。
もちろん、それには全く及ばないけど、
私にだってそれなりに過去はある。
とんでもないことしちゃったな、って過去もあったりするわ。若気の至りね。
だけどね、それとこれとは別の話。
嫉妬の感情は、お互い様だからって、
関係ないのよ。
ムカつくものはムカつくの。」

「…………どうやって折り合いつけるんですか?」

出来るなら教えてほしい。

「うーん。
現実を見ることかな。

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