ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「だから、付き合ってないんですって!
確かに、仲は良かったと思います。
入学式の日から、不思議なくらい一緒にいる時間が長くて。すごく一緒にいて楽だったから。
男女の垣根を超えた仲というか。
私、数字が苦手で。
数学だけはどうしようもなくて。
クラスが替わっても、彬良が数学を見てくれてたんですよ。彬良、面倒見いいんですよ〜。
お陰でK大に合格出来ました。
でも、それだけですよ?」

「………。」

あれ?麗先生、黙っちゃった。

「…ねぇ、それ、本気で言ってる?」

「本気でって…事実をそのまま言ってますけど。」

ハァ〜〜、と大きなため息をつかれる。

「今の話を聞いただけでもね、世間的にそれって付き合ってると思われてもおかしくないよね?
灯里ちゃん、客観的によく考えてみて?
灯里ちゃんと彬良くんのような仲良しの男女が同級生にいるとする。
2人は声を揃えて
『付き合ってない』
って言うの。でもね、毎日2人っきりで勉強してるの。ある日、2人がキスしてるところを見かけちゃうの。それも、1回や2回の話じゃなく。何度も見かけるの。
はい。
判断して?
この2人、白?それとも、黒?」

「………黒、ですね。」

いや、なんでだ⁇
どこで見られた⁉︎
高校時代にもキスしてたこと、なんで知ってるの⁉︎

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