ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
廣澤総合病院に誘われた時、やっぱり彬良との繋がりを期待してしまったのは事実だ。
誰にも言ってないけど…。

彬良が学生でも、私が実家にいたら、少しは会えるんじゃないかって。

「ふんふん…なるほど。」

…ハッ!
やばい。
意識がドン底まで行ってしまってたぞ。

「よし、わかったわ。
誤解かどうか、確かめてみましょう。」

確かめる…?

「まずは誘き出さないと…
大丈夫。任せて!
それに、ちょっとあのヘタレぶりを何とかしないとねー。
…フフフ…私の灯里ちゃんを悲しませるなんて、許せるものですか…」

な、なんかブツブツ言ってる⁇
麗先生、黒いオーラが見えますっ!

「ねぇ、今度、バイトのない日はいつ?」

あ、これはもちろん、健心に言ってる方の
偽バイトだ。フランス語会話のね。

「木曜日です。」

「わかった。修司さんは当直の日じゃないし、
彬良くんは…聞いてみてくれる?
ま、当直代わってもらってでも来るでしょうけど。
焼肉、食べにいきましょう!4人で。
もうね、悪阻が引いたら、お腹減っちゃって!
肉、食べたいのよ〜。」

もちろん即答だ。
焼肉奢りだよ?
行くに決まってる!

あ、でも……

「木曜日、母が遅い日なんですよ。
どうしよう…健心が…。」

「弟さん?
いいじゃない。連れてきて?
弟さんさえ良ければだけど。
お会いしたいわ!」

え、いいのかな⁇
めっちゃ食べるよ?
高1男子の胃袋、半端ないからね。

「いいんですかー?
育ち盛りなんで、めっちゃ食べますよ?」

「いいわよ!
修司さんの奢りだし。ガンガン行っちゃって!」

やった〜‼︎
健心、喜ぶだろうなぁ〜










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