ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「そ、そんなことないですよ?
もうお式は決まってるんですか?」

「いや、彼女がまだ学生なんだ。
卒業してからだな。」

歳の差カップルなのかな?
追々聞いていこう。

「2人で出かけるんじゃないの?
日曜日だし。」

「いえ、約束はしてません。
私は予定があるので。」

バイトだもん。
彬良が来てくれたからって、どこにも行けないや。

「彬良クン、彼女連れないね〜。
良かったら、ヤロー2人でメシでもどう?
俺、腹減って…」

「……じゃあ、オムライスの美味いところがあるんですけど、どうですか?
……さっきの会話の感じだと…きっと気にいると思います。」

「オムライス!
もちろん好きだよ!」

げっ!
彬良⁉︎
何言っちゃってるの⁉︎
“天守閣オムライス”じゃないよね⁉︎

「婚約者がいらっしゃるなら問題ない。
是非案内させてください。」

だぁ〜〜〜!
絶対そうじゃん!

「あ、彬良…な、何考えてんの⁇」

「売り上げ協力だよ。」

そう言ってニタリと笑う彬良。

コイツ……斎を取り込む気だな。
斎はきっと気にいるだろう。
オーナーが常連客ゲットで喜びそうだけど…。

講師としての私の威厳はどうなるのよ〜!

「……ハァ…。
もう、勝手にして。
私、遅刻しちゃうから行くね。
日曜日は混むと思うから……早い方がいいよ。」





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