チヤホヤされてますが童貞です
横目でチラリと凛の表情を確認すると、凛は凛で固まっていて。

「……いや、別に絶対にしろってわけじゃないだろうし…」
「大丈夫…!ドンと来い…!」

何故かやる気を出している凛を可愛らしいと思いながら、手を差し出した。

「よろしくお願いします…」
「…うん……」


ソファに座り、手を差し出した。
空いている手でリモコンを操作し、テレビを付ける。

『君の瞳を独占したい…』

(自分のCM流れるの…居た堪れない…)

「………」

視線を1ミリもずらすことなく集中して凛はテレビを見ていて。

「……恥ずかしいんだけど…」
「なんで? かっこいいのに…」
「かっ…!」
「……? あっ…えっと! 凄く服装似合ってるなって!」

顔を赤くしながら凛は下を、綾斗は窓の外を眺めた。

(俺…手汗…やばい……)
(私…変じゃないかな…。)

キュッと手を握られると、キュッと返される。
それが気恥ずかしくて、心臓が高鳴ってばかりだった。
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