チヤホヤされてますが童貞です
「………」

テレビの内容は入ってこなかった。
手に全ての神経が集中し、彼女の方を見ることが難しい。

(あぁ…俺がもう少し女の子に慣れてたら…)

なんて嘆いても、今、童貞感が丸出しなのは否めなくて。

「………ごめん。凛。」

「どうして謝るの?」

「いや、なんか…楽しませること出来てないなぁって思うし、俺が上手くリードとか出来れば良いのに。」

「………? 私もそんなこと言ったら楽しませることも出来ないし、リードとか以ての外だし。」

凛はぎゅっと握っている手に力を込めた。こっちを向いて、と言わんばかりに手を伝って熱が綾斗へ届く。

「でも…男の人に慣れるためにこんな風に何かする人が……綾斗で良かったって………私は思うよ。」
< 23 / 67 >

この作品をシェア

pagetop