チヤホヤされてますが童貞です
「………」
「………女の人に慣れてる人が相手だときっとアタフタしちゃうからね…!」

凛が元気付けようと必死になって話してくれていることを綾斗は気づいた。
目を合わせるのもいっぱいいっぱいだった彼女が、グッと逸らさないために視線にさえも力を入れたような様子の視線。
そして声音は変に緊張してた。

「ありがと。凛」

少し頑張ってみよう。
そんな風に思えたから、綾斗は一度手を離した。

「っ…もう辞める?」
「ううん。」

優しくそう答えると、凛の手の甲に自分の掌を重ねて、指と指を絡め併せた。

「この番組終わるまで…いい?」
「うん…」

慣れないなりに、仕事のため、2人は頑張ると心に誓う。

《ドクン…》

心臓の音がどんなに酷く鳴り響こうと、気づかないフリをしながら。

「これからもよろしく…お願いします…」
「うん。」

なんて会話をしながら。
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