チヤホヤされてますが童貞です
手早く『初めて』のキスを終わらせてしまおう。
それで一皮向けて、大人になって、引目を感じずに生きれて…良いこと尽くしじゃないか。
そう脳裏に思いながら、綾斗は凛の頬に触れた。
「………」
いつ目を瞑れば良いか、首の角度は何度か、どれくらいの強さで重ね合わせるのか。
考えることは沢山あって、『やっぱりこういうことは難しい』という印象だけが色濃く心に刻まれた。
唇が合わさるまで残り数センチ。数秒。
熱が空気に乗って届きそうな距離で
「……苦しかったね…」
と、凛は呟いた。