チヤホヤされてますが童貞です
「私は…綾斗がどんな気持ちで今まで過ごしてきたかなんて知らない…。……知らないし…『教えて』なんて…言うつもりもない。………だから…何も知らないから……偉そうに聞こえたらごめん…」

「綾斗は変なんかじゃない…」

「周りの期待と好意と……重圧。全部背負って……応えよう乗り越えようって頑張ってる姿を知ると…かっこいいって思うよ。」
「………」
「……綾斗を見ると、自分も相手に慣れなきゃ、もっと仕事頑張らなきゃって…思う。……私のイメージを綾斗に押し付けるわけでもなんでもない…。」

いっぱいいっぱいになって顔を赤く染め上げ、丁寧に言葉を紡ぐ凛と至近距離で視線が交差した。


「……頑張ろうとしてる自分を…認めずに、受け入れようともせずに…バカにしないで…。」


自分自身、弱い人間だと認識している。今も、凛のたった最後の一言で目頭が熱くなるほどだ。

「凛…目、瞑って…?」
「……うん」

泣きそうになっている表情を凛に見られたくなかった。彼女も綾斗の気持ちを察したのか、すぐに目を閉じる。

その数秒後、綾斗と凛はキスをした。
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