チヤホヤされてますが童貞です
困らせるのはわかっているし、気持ち悪がられるかもしれないのもわかっている。
「……私、表情とか変だったかな…? 綾斗との特訓のおかげで…上手く出来たと思ってたんだけど…」
明らか少し落ち込んでいる凛の声のトーンに、申し訳なさと自分の自己中心的な発言に対する苛立ちが襲いかかってきた。
「違う…。演技は凄くて尊敬する。」
「……このルージュ、似合ってないとか…?」
「それも違う。」
むしろ似合っていて可愛い。そう思っているのだが、変に緊張して言葉にできなかった。
「言ってくれなきゃ、綾斗にこの口紅塗るから。」
「え?」
その言葉に驚き、綾斗は凛との間に距離を置く。しかし彼女は、ポーチから口紅を取り出し、せっかく作った距離をじりじりと詰め寄ってきた。
「綾斗に似合うよ?」
にっこりと笑ってキャップを外す。
(あ…凛…なんか楽しんでる…)
凛から真逆の方向へ顔を向けるが、その抵抗も虚しく…。
《グイッ》
伸びてきた凛の手により、顔と顔が向き合った。
「年上の訊いたことは答えるのが世の常…でしょ?」
「うっ…こういう時だけ年齢を引き合いに出すの良くない…!」
「なんでそんなに嫌がるの? いつもメイクさんに塗られてるのに」
「…だって…それ…凛が……」
「私が…?」
顔を真っ赤にさせて眼を細める綾斗との距離を更に縮めた。
「……凛が…つけたやつじゃん…。」
「そんなに私との間接キスが嫌?」
「ちがっ…」
「『違う』なら何でそんなに拒むの?」
最初の頃、男慣れしていなくて赤面していた凛は何処へ。
この共同生活により慣れたのか、それとも綾斗は男として認識されていないのか。後者だとしたら少し複雑な心境になるのは間違いなくて。
「………凛ばっかり平気そうで悔しい…」
「…?」
「俺は……凛が近くにいるだけでドキドキするのに…」
「……今だって俺だけ意識してるし…。CM見たら相手役の男に嫉妬するし…」
「………」
「童貞の独占欲とか…めちゃくちゃダサいよね。」
恥ずかしさばかりが募って耐えきれなくなった綾斗はソファから立ち上がる。言い逃げを決め込もうと一歩を踏み出すが…。
「待って」
の一言でピタリと足は止まった。
「……私、表情とか変だったかな…? 綾斗との特訓のおかげで…上手く出来たと思ってたんだけど…」
明らか少し落ち込んでいる凛の声のトーンに、申し訳なさと自分の自己中心的な発言に対する苛立ちが襲いかかってきた。
「違う…。演技は凄くて尊敬する。」
「……このルージュ、似合ってないとか…?」
「それも違う。」
むしろ似合っていて可愛い。そう思っているのだが、変に緊張して言葉にできなかった。
「言ってくれなきゃ、綾斗にこの口紅塗るから。」
「え?」
その言葉に驚き、綾斗は凛との間に距離を置く。しかし彼女は、ポーチから口紅を取り出し、せっかく作った距離をじりじりと詰め寄ってきた。
「綾斗に似合うよ?」
にっこりと笑ってキャップを外す。
(あ…凛…なんか楽しんでる…)
凛から真逆の方向へ顔を向けるが、その抵抗も虚しく…。
《グイッ》
伸びてきた凛の手により、顔と顔が向き合った。
「年上の訊いたことは答えるのが世の常…でしょ?」
「うっ…こういう時だけ年齢を引き合いに出すの良くない…!」
「なんでそんなに嫌がるの? いつもメイクさんに塗られてるのに」
「…だって…それ…凛が……」
「私が…?」
顔を真っ赤にさせて眼を細める綾斗との距離を更に縮めた。
「……凛が…つけたやつじゃん…。」
「そんなに私との間接キスが嫌?」
「ちがっ…」
「『違う』なら何でそんなに拒むの?」
最初の頃、男慣れしていなくて赤面していた凛は何処へ。
この共同生活により慣れたのか、それとも綾斗は男として認識されていないのか。後者だとしたら少し複雑な心境になるのは間違いなくて。
「………凛ばっかり平気そうで悔しい…」
「…?」
「俺は……凛が近くにいるだけでドキドキするのに…」
「……今だって俺だけ意識してるし…。CM見たら相手役の男に嫉妬するし…」
「………」
「童貞の独占欲とか…めちゃくちゃダサいよね。」
恥ずかしさばかりが募って耐えきれなくなった綾斗はソファから立ち上がる。言い逃げを決め込もうと一歩を踏み出すが…。
「待って」
の一言でピタリと足は止まった。