チヤホヤされてますが童貞です
「あや…と…」
「……涙目になって名前呼ぶとか…誘ってる…?」

フルフルと顔を横に振る仕草も可愛らしくて、止め処なく愛しさが溢れ出した。

「……好きだよ…」

その言葉を拒絶されないために有効的に使う自分は意地汚いだろうか。卑怯な自分を、凛は嫌うだろうか。

「もう…我慢できない…」

パジャマのボタンを一つずつ外して空気に晒されたデコルテにチュッとキスを落とす。

「ん…」
「………嫌…?」
「……ううん…」
「…………もし嫌だったら…突き飛ばして…」

相手の心の柔らかな部分を攻め入るような言動。自制もせずに欲求のまま愛しい凛を求めた。

ボタンを全て器用に外し終えると、凛の純白のブラジャーが目に映る。可愛い、という感想を抱き、盛り上がった柔らかな胸部に、今度は優しく吸い付いた。

「……これ…外してもいい…?」

こくり、と精一杯の意思表示として小さく頷くのを確認して、凛とベッドの間に腕を差し込み、少し上体を起こさせる。

(……片手で外せるかな…?)

左腕で凛を支えているゆえ、残りの右手で頑張ってホックを外そうと試みた。案外、スッと簡単に露わになった乳房を見つめながら下着を取り除く。手先が器用で良かった、と変なところで安堵しつつ、凛の恥ずかしそうにしている表情を見つめた。

「……心の準備がぁ…」
「……俺も緊張してる…」

凛の隠そうとする手を握り、ベッドの上へと動かすことでそれを制す。ただただ気持ちよくなって欲しくて、首筋に舌を這わせた。

嫌がられないかドキドキしながら、甘い愛情をたっぷり凛へと注いでいく。触れる唇から『好きだよ』と気持ちが全て伝わればいいのに。再び唇同士をくっつけて、彼女の口が薄く開いた瞬間、綾斗は口内を蹂躙した。

「………凛の身体…柔らかくてずっと触ってたい」

熱っぽい視線を凛は身体中に受けて、耐え切れなくなったのか身をよじらせる。その行動が堪らなく可愛いらしくて、視界に入った胸の頂きを下から上へと舐めあげた。

「……硬くなってきた…」
「その感想…嫌…」
「ん……でも…気持ちいいんでしょ…?」

甘く鳴く声をもっと聞きたくて、舌先に程よい力を入れつつ再び口に含んだ。

「…ん……ふっ………あぁ…」
「……凛…可愛い…」

快楽に痺れる凛を、無性に自分のものにしたくなる。


もっと近く。もっと深く。


もっと徹底的に自分のものに。


あぁ、この感情が『抱きたい』というものなんだと気づいた時、

「……綾斗…好き…」

と、彼女は女性特有の高くて綺麗な声を漏らした。



でも、それは今じゃない。



「………ごめん……やめる…。」



ピタリと手を止めて、脱がした服を凛に手渡した。唖然としている凛は、その服を受け取って数秒、着ないで綾斗の横顔を見つめている。

「………私…変だった…?」
「可愛かったよ…」
「じゃあ…なんで…? 上手く出来ないかもって気にしてる…? それとも…萎える事あった…?」
「……どれも違う…」

とりあえず服を着てもらうため、綾斗は静かな口調で着用を促した。

「………次の休みが重なる日の前日の夜にヤるって話だったのに……理性飛ばして早まった。……ごめん。」
「…………私は今からでも良いよ…?」
「どの口が言ってんの…。手、震えてたくせに」

どんなに安心させたくて優しく握っても、行為中、常に凛の手は冷たくて小刻みに震えていた。
怖い、という感情のままの凛を抱きたくない。

抱くなら、同じ気持ちの彼女を抱きたい。

「………凛のこと…好きだよ…。大好きだから…無理はさせたくない」

起き上がった凛の桜色の唇に触れるだけのキスをする。乱れた髪を撫でて、その毛先にもチュッと口づけた。

「大事にしたいから……凛にあまり負担をかけたくない…」

今度は目蓋に唇で触れて、目線を合わせた。

「……でも…綾斗……最近触れてくれないし…」
「………本当はものすごく抱きたい。凛とエッチしたい…。ヒかれるくらい凛とする妄想ばっかしてる。………我慢しすぎってくらいに我慢してるの…気づいてよ…」
「っ……」
「童貞の忍耐力なんて…無いに等しいんだから…」

苦笑いに似た面立ちの綾斗の呼気を近くに感じると、チュッと凛は唇同士を合わせた。

「んっ…不意打ち禁止…! せっかく辞めた俺の努力が無駄になりそうだから…」
「……嫌だ…」
「待っ…んっ…」

ベッドの上に膝立ちをして上から攻め入る凛の甘い甘い誘惑と愛情表現に、胸がドクンドクンと大きな音を立てる。

「……毎日…キスしたい…。約束…」

必死になって紡ぐ表情に見惚れて、何も考えずに綾斗は一言

「…………承知しました…」

と、虫の鳴く声で承諾した。

「……ちなみに…私、5日後オフなんだけど…綾斗はいつ……?」
「………え…」

彼女の問いかけで、昼間の服部の言葉を思い出す。

『だから5日後だって!何回訊くの!?』

しつこいくらいにマネージャーに訊いた質問。

「………5日後…。」

決行日が間近であることを知り、頬に熱を灯しながらゆっくりと顔を見合わせた。
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