チヤホヤされてますが童貞です
そして迎えた夜。

(………また恋愛もの…?)

今度撮影が決まったドラマの台本を読みながら、密かにハマっている紅茶を淹れてテイスティングしていた。

(うわ…キスシーン…)

ヘタレさと変な純粋さを捨てれば、この仕事はもっと楽しいのかもしれない。

「……彼女…か…」

昔付き合っていた彼女とは何もないまま自然消滅したり、何もないまま別れを告げられたり。

ヘタレなために触ることすら出来なかった。

それなのに世についたイメージは『女慣れしてる』だとか、『セクシー』、『フェロモン全開イケメン男』だとか…。

「何がフェロモンだよ!? そんなのないし!!」

一人寂しい部屋で唐突に嘆いた。

滲み出るエロさを売りにされ、最近でいうと腐女子人気があるらしく、受けとして別の俳優さんとの絡みが描かれた漫画さえも出ているらしい。
攻めじゃなくて受けなことに驚きを覚えた時もあったが、自分の顔はどちらかというと童顔なため、そう言われるのも分かる気がしてきた今日この頃。

抱かれたいだの、男の人に抱かれてて欲しいだの、ぶっちゃけどうでも良いことだが世間にとってはどうでも良くないらしい。

(下ネタ方向に行くことをまず食い止めたい…)

別に女性に興味がないわけではない。
性欲がないわけではない。

今日何度目かのため息をついて、台本を閉じた。
女性を抱くとはどのようなことだろうか。
気持ちいいのか、幸せなのか。
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