離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「あ、コーヒー出来たので離してください」


 コーヒーメーカーから良い香りが漂って、サーバーを覗くと二人分の量が出来上がっていた。いい加減離してもらえないだろうか。

 和也さんに衝撃の告白をされてから、既に三日が経過している。その翌日、私は気恥ずかしさもあり和也さんとふたりきりになるのを避けていた。彼の姿を見れば即座にその場を離れるという行動を繰り返していたのだが、その夜のうちに捕まった。

 私の現実逃避が、不満だったようだ。捕まえておかなければ話もできないと、こうして背後から拘束されるようになった。最初は慌てたし足掻いたけれど、三日これを繰り返されるとさすがに諦めと慣れが出来ていて、今この状況なのだった。


「和也さん?」


 返事がないので名前を呼ぶと、ぎゅっと抱きしめる力が強くなる。困って首を傾げた。


「あの?」


 少し振り仰いで、背後に視線を向ける。すると、和也さんも私の顔を覗き込むようにしていた。それが何か、嬉しそうに目が輝いて見える。

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