離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「気になった?」


 うっと言葉に詰まった。気になったのは本当のことだから。


「……大事な女性がいるのに、秘書にこんなことしてくる上司なら訴えないといけないので」
「大事な妻ならここにいる」


 皮肉を言ったら思わぬ言葉で返されて、喉から変な声がでそうになった。慣れたといっても、不意打ちで甘い言葉をかけられるのにはやはり対応できなくて。
 彼は、私が答えを言うまで、あるいは期日である離婚予定日まで徹底的にこの方針でいくらしい。
 恥ずかしいし心臓が騒いで痛いし、もう勘弁してほしい。


「よくそんなセリフを……」
「時間は有効に使わないとな」


 期日まで、プライベートのあらゆる時間を私に充てるつもりのようだ。

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