離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「考えすぎ? ただの幼馴染だったの……かな」


 わからない。聞いてみなければ。いや待って、なんて聞けばいいの、聞いた時点で私たちの間に恋愛感情を持ち込むきっかけになってしまわないだろうか? いや、もう、それ今更だ……あの人は、全部わかってて私に言わせたいのだから。

 ぶつぶつと呟きながら、彼のセリフをあともうひとつ、思い出す。

 ――じゃあ俺は、その日までにいずみの気持ちを変えられるよう努力しよう。

 思い出した途端に、とうとう我慢が出来なくなって床に突っ伏した。頭から湯気が出そう、これ以上考えたらショートしてしまうというくらい、熱かった。

 明日から、どんな顔をして会えばいいんだろう。今夜はもう、絶対部屋から出ないとして。お風呂に入るのも寝静まった夜にしよう。と、そこまで考えて、まだ夕方なのに『おやすみ』と言われたことに気が付いた。
 私が今日はもう一歩も部屋から出たがらないだろうことも見越して言われたのだ。


「……んああああ、なんか、悔しい……!」


 どん、と床を叩いてしまいそうになって踏みとどまった。下の階に響くのもあるけれど、床でひとり身もだえているのだと知られてしまうのも、恥ずかしいから。


「どうしたらいいの……」


 明日からのことを考えると、あと二か月……いや、一カ月半だろうか。途方もなく長くなりそうな気がした。


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