暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
私に刃を突き付けるレディーナの顔色が変わる。
けれど、既にレディーナは正気ではない様子で、私の腕を掴む力を更に強くした。
「痛い…っ!」
「陛下、あの者刃物を持っております…っ」
咄嗟に反応をしたのは陛下と一緒にその場に現れた宰相様だった。
助けを求めるように陛下へ顔を向ける。
すると、陛下は何故か私の顔を見て驚愕の表情をされた。
「……これはどうゆう事だ」
陛下の放つどす黒い殺気によって、その場は一気に重々しい空気へと変わる。
ズン…と身体が重くて、レディーナは恐怖からか刃物を地面に落とした。
この隙に逃げようと試みるも腕はしっかりと掴まれていて、離れる事が出来ない。
「やはり、お前らはグルだったのか…!!」
「何の事だ」
「この俺が商談する前に追い返されるなんて普通はあり得ない!!どうせこの女から町での事でも聞いたんだろうと思ったよ!!そうなんだろ…っ!?」
「町での事…だと?」
レディーナのその言葉に陛下はピクリと反応する。
「あぁ!!俺は確かにこいつを殺そうとしたさ。通行の邪魔をしたガキに腹が立って、口答えするこの女にも腹が立って。殺すように命じたさ!!」
レディーナはそう言って狂ったように笑う。
「…………」
凍りつくような陛下の目が、レディーナに向けられる。
護衛でついてきた男達でさえ、そんな陛下を前に何か出来るはずもなかった。