私に恋する可能性



それにしても


「お友達は良かったんですか?」


「ん、ああ…まあ別にいいよ」


えぇよかったの?


「今日は彼女サンの俺なんでしょ?」





『今日は彼女である私の多岐くんですから!』


そう言えばそんなこと言ったな…


「…ふふっ、はい!」


言っといてよかった!


「よく笑うね…間部さん」




笑う?


「そうですか?」


「うん。いっつも笑ってるよ馬鹿みたいな顔で」


ん?

今ディスられたことない?


でも


「多岐くんがいるからかな」


「は?」


「私が笑うのは多岐くんがいるからだよ」



多岐くんが好きだから


顔が緩んでしまうのも仕方ない



「あ、多岐くん、そろそろ帰りましょうか」


携帯の時間を見るとかなり進んでいた

楽しい時間っていうのは本当にあっという間だ


「多岐くん?」


立ち上がった私とは違い、座ったまま下を向いている多岐くん


どうしたんだ


「多岐くん?どうしたの?」


あんまりにも動かないもんだから隣に屈んで顔を覗き込む


「…なんでもない」





「帰ろーか」


「うん」



いつも通りの笑顔になった


なんだか今日の多岐くんはちょっといつもと違う


私服だからかな


相変わらず私の心臓を暴れさせるところは変わってないけど


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