私に恋する可能性



「やっぱりあんただ。大丈夫?」


しかし私の手を引っ張ってくれたのは多岐くんではなかった


「あ!さっきの!」


さっき私がぶつかってしまった黒髪に白い肌の男の子だ


また会うなんてすごい偶然だな


「なんか埋れてたからさ」


ジーンズにただの白いTシャツ、何故かタオルを首に巻いている


それにしても人の波を出られたのは何故かと思ったら

りんご飴ってかいた屋台の後ろ側に来ていた

売り子側だ


か、勝手に入ってしまってる!?これ


「あー気にしないで、ここ俺の知り合いの屋台。俺手伝い」


あ、なるほど…だからこの格好


はっ!


「二度も助けていただきありがとうございます!すみません!」


「別にいいけど…てか1人?」


「いや…えと、はぐれてしまって」


「じゃここにいなよ、落ち着くまで」



あー…その方がいいのかな


屋台の向こう側では人が波のように行き交う


この足であんなとこ入ったら軽く押しつぶされそうだし


というか多岐くんは私がいなくなっていることに気付いてるんだろうか



「えと…じゃ、じゃあ…」


人の波が落ち着くまではいた方がいいかな


「ねーねー君名前なんていうの?」


え、あー


思ったよりも至近距離にある男の子の顔


え、この人めっちゃ顔整ってない?

女の私より綺麗じゃない?

思わず問いに答えることを忘れてその綺麗な顔に見入る


「俺の顔になんかついてる?」

あっ

しまった、すみません


「ふふ、いーよ。君の連れが来るのにどのくらいかかるかわかんないし、しばらく話し相手になってよ」


は、はぁ…


ていうか…来てくれるかな多岐くん

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