私に恋する可能性
でも…その心配は必要なかった
「間部ひなた!」
!
ぐいっ
後方から肩を掴まれ、引き寄せられる
「はぁ…やっと見つけた」
!
「多岐くん!」
さっきまであった帽子はかぶっていない
少し乱れた髪と服装、汗を滲ませて私の肩を寄せていたのは他でもない多岐くんだった
「気がついたらいなくなってたから焦った」
あ、焦ってくれたんですかぁぁ!?
「…何やってん…あ」
多岐くんの目が私から黒髪の男の子に移った
?
「お前…茂木?」
も、もぎ?
「…多岐」
え、あれ?
「知り合い?」
多岐くんは少し目を丸くしていて、茂木?くんは…
あれ?さっきと違くない?
無表情…というより、なんかちょっと冷たい目で私たちを見ていた
「知り合いっていうか、同じクラス」
クラス!?
え、あ、じゃあ同じ学校!
だからなんか見たことあったのか!
「へー珍しいねー茂木って祭りとか来るタイプなんだ」
?
「…俺は親戚の手伝いに来てるだけ」
「へー…てか、なんで間部ひなたがここにいたの?」
「…埋もれてたから助けた。お前の連れ?」
「俺の連れ。埋もれてたんだ」
う…お恥ずかしい
「そいつ足怪我してる…連れならそれくらい把握しとけよ」
!
気付いてたの?茂木くんとやら
は!
それより多岐くんにこれ心配かけるわけには!
「大丈夫ですよ!まだ歩けます!」
張り切ってそう言い、多岐くんを見上げる
「元気だけはあるよね間部さん」
多岐くんが少し柔らかく笑った
だけとはなんだ、だけとは