私に恋する可能性



ガラッ


教室の扉を開けた


騒がしかった声がなくなり、何人もの視線を感じる


目を丸くした男の子達


「…おい…やべぇぞ」

「うわ…まじで」


ゆっくりと振り向いた多岐くんの口が少し歪んだ



「今のどういうことですか」


「…」


「ゲームっていうのは…私に告白したことですか?」


「…」


誰も何も答えようとしない


「何か言ってください」








しばらくの沈黙


その後に


最初に動いたのは多岐くんだった


座っていた椅子から腰を上げ、私を見た


「そうだよ」





冷ややかに笑った


「君に告白したのはゲームのいっかん。全く恋愛感情はないよ」


「…じゃあ、私のことは…」


「うん。全く好きじゃないよ
別に付き合ってほしい=好きってわけじゃないでしょ?そうやって考えちゃうおめでたい人もいるけどさ」


フフッと息を漏らす


「ただゲームの相手として名前をあげられたから告白しただけ」





「ひでぇな多岐ー」

「泣いちゃうぞー」


冷やかしの声が聞こえる




付き合ってほしい=好き…ではない


多岐くんは私を好きじゃない





あの告白は…






なるほど


やっと理解ができた



私はゲームの相手
なんのゲームかは分からないけど

いつまで続くかとか言ってたから
まあそんな賭けの材料なわけだ…




なるほど



なるほどねぇ



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