私に恋する可能性



…聞いてしまおうか


多岐くんが


私を好きになる可能性はありますかって





好きになってくれますかって







でもやっぱりそれを言い出せないのは


私が小心者だから…

弱虫だから


もしその言葉を言って、この関係が変わってしまったら


それが…とてつもなく怖いから


繋がれた手に視線を落として


少し息を吐いた



それから電車に乗って私の駅で降りるまで


ほとんど会話はなかった


ただ、手だけはずっと繋がれていた



やっぱり不思議


多岐くんとの間にできる沈黙を気まずいなんて思うことはなかった


電車の中だって怖くなかった


むしろ心地いいくらいに感じた



これも恋の魔法なのか


それとも別の何かなのか



少しだけ強く多岐くんの手を握り返した



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