私に恋する可能性
私の腕を掴んだままぐんぐん廊下を進む
多岐くんがカフェのめちゃめちゃかっこいい服装で人混みを進むもんだからいろんな人に声をかけられる
「多岐ー」
「あれ、遥じゃん」
だが、多岐くんはどれも聞こえてないようなスルースキルでひたすら真っ直ぐ進む
私だけ視線をめちゃめちゃ浴びて肌が痛い
どこに向かってるのこれ
されるがままついて行き、人通りが少なくなる
外にまで来てしまった
校舎の裏側に回る
そこでやっと多岐くんの足が止まった
「多岐くん?」
多岐くんの後ろ姿を眺める
「今…めっちゃイライラしてる」
少しだけ顔をこっちに向けてそう呟いた
ひ、ひぃ
そういわれましても
「なんでまた…」
「なんでも何もひなたが」
私?
「…ひなたが、悪い」
ええっ!?
「私のせい!?」
なんでなんで!
なんかした?
あ、でっかい声で多岐くんへの愛を語ったこと?
「いやでもあれは本当のこと言ったんだし、それに喧嘩売ってきたのはあっちの…」
「そうじゃなくて」
え
違うの?
私の必死の弁解を遮った多岐くんがため息をついた