私に恋する可能性




ドーン!!



少しして空に打ち上げられる火の花に顔を上げた



ドーン!パラパラ


独特の音を立てて空を彩る



やっぱり穴場だった


すごくよく見える


抱きしめた携帯


光る空



「多岐くん…」


「はいよ」


!!


思わず漏れたその名前に反応した声


視線を空から声のした方へ向ける


そこには、はぁはぁと肩で息をしながら私を見ている金髪の青年が…1人


「…よくこんな穴場、見つけたな」


途切れ気味の声でそう言った

額には汗が滲んでいる


「多岐…くん」


多岐くんだ

多岐くんがいる


「なんで…」


「…なんでもいいだろ。今は花火上がってんだからそっちに集中しようぜ」


…へ?


多岐くんは額の汗を拭いながら私に近づく


「もっとそっち行って」


え、あ、はい


階段のど真ん中に座っていた私は言われるがまま、端による


空いたスペースに当然のように座る多岐くん



ちょいと理解が追いつかない頭


だけど隣の多岐くんがおーすげーとか言いながら空を見上げているから…




とにかく今はこの特別な時間楽しも


私はもう一度花の咲く空を見上げた





< 99 / 270 >

この作品をシェア

pagetop