私に恋する可能性



クライマックスかな


一際大きな花火が空に打ち上がり始める

パラパラと音を立てながら金色の粉が散る


「綺麗…」

「…」


なんかあれだね…あの光浴びたら空飛べそう


ドーンドーン


不規則にお腹に響くような大きな音



これが終わったら…帰らなきゃ


どれくらいの間そこにいたんだろう


ただ次々に打ち上げられる花火を眺めて時間が過ぎていく


最後の大きな花火が消え、空に静寂が戻る



しんとした空間


不思議と静寂を気まずく思うことはなかった


先に口を開いたのは私だった



「終わりましたね」


「…そうだね」



7時43分


すごい長い間花火打ち上げられてたんだね


でもあんまり長く感じなかった


花火を見ている間、私たちの間には何の言葉もなかった


だけど…


すごく満たされた


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