翼のない鳥
まだ出会ってちょっとしか経ってないけど、ここは居心地が良くて、楽しい。
ほら、今だって。
私が律と1対1で話したいと思ってるから、さっきまであんなに口出したげだった真秀も、他のみんなも、ただただ黙って見守ってくれている。
優しいな、みんなは。
だから、この縁を大切にしたい。
これからもみんなと仲良くしていきたいし、欲をいえば、律にもその中に混ざってほしい。
―――心のどこかで、安心していたのかもしれない。
だって、生まれてこのかた、私が本気でお願いしたら、律は絶対叶えてくれていたから。
「いくら美鶴のお願いでも、今回ばかりはきけないな。」
だから、拒否の言葉を聞くなんて、思ってもみなかったの。
「え・・・」
「ねえ、美鶴。」
あくまでも優しく響くその声が、よく分からない。
―――律が、よく分からない。
「僕はね、美鶴。生徒会と関わらないで、って頼みごとをしてるわけじゃないんだ。美鶴がこれから生徒会と関わることはできない、という決定事項を伝えているだけ。」
分かった?と首を傾げる律は、まぎれもない、血を分けた片割れ。
何より大事な、たった1人の家族。
でも、でもでも!
「っ、律の馬鹿!」
叫んで、そして、私は―――