翼のない鳥


「・・・勝算のないゲームは、しないんじゃなかったっけ?」


呆れたように笑う司。

うん、この状況で笑えるの、お前くらいだわ。
さすがに付き合いが長いヤツは違う。

感覚が麻痺ってんのか。


・・・うん、俺、麻痺りたくねえな。


こんなのに慣れちまったら、人として大切ななにかを失う気がする、うん。


「しねえよ。負ける気とかサラサラねえし。」


常識って、大事だよな。

なんでこんなに自信たっぷりなのか理解できない。


「律クンには、何かとんでもねえ秘密が必ずある。絶対に人に知られてはいけない秘密が、ねえ。」


妖しく唇を吊り上げて笑った茜にゾッとした。

ほんとさ、なんか、同情するよ、律。


あーあ。

なんだかんだいって俺も、茜に慣れてきちゃってんのかもしれない。


だってさ。



「なら、勝てるんだろーよ。」


負ける気ってもんが、全然しないんだよ。



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