翼のない鳥


そっと、目をふせた。


「ごめんね、本当に、分かんないや。」


“あれ”を話すくらいなら、ゲームに負けてしまった方がまし。

そう思えた。

そんな私に何か感じるものがあったのだろう。
そうか、と残念そうに笑って、それ以上突っ込もうとはしなかった。


・・・みんなのこういうところ、すごく好き。


できればこれからも、一緒にいたい。


そして、その中に律もいたら、本当に最高なのに。


なんで律は、あんなに嫌がるんだろ。


「・・・俺の勘的に、律クンの秘密は美鶴チャンも知らないことだと思うんだよねえ。」


すうっと目を細めた茜くんに、みんなが意外そうな顔をした。

・・・自分で言うのもなんだけど、今の私の態度、けっこうあからさまに怪しかった気がする。

こう、なにか隠してますよー的な。



・・・昔から、ウソとか誤魔化しが苦手なんだよね。

いっつも律から呆れられてた。



どうして苦手って、それは、罪悪感を感じてしまうから。

だから、茜くんが私の知らないことだろう、って言って、ちょっと安心した。


私のせいで負ける、とかじゃなくて、よかった。





でも、じゃあ、律の秘密、って、何?


生まれてからずうっと一緒にいた私でさえも、知らないこと。




律の、秘密。
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